《No. 49》 ベストセラーUnbrokenを読んで考える日本人の回復力と義侠心

まさに忘れた頃にやってくる…。帰国して6週目にして、千年に一度の大地震・津波が日本列島を襲いました。被災者とご関係の方々のご心痛、そして気が遠くなるような復興への道筋を考えると、言葉が出ません。短期的な視点での日再建は 不可能だと思います。…

(追記)バックナンバーについて

零下の日が続くワシントンです。小さなアパートの引越しでも、さすがに4年間の生活の蓄積があって、たいへんです。思い切って処分しなければ、移動ができないのはわかっているのに、愛着のあるものが多くて困ります。 この拙いレポートもブログになる以前に…

《No.48》 ひとまず、サヨナラ ワシントン!

ワシントンに来て4年が経ち、そろそろ帰国する時期になりました。毎月1回この「ワシントン便り」を書き始め、途中からブログのかたちになり48回目の今回が最終回です。 車で通勤する人が多いこの街が雪で覆われて白くなると、その不便さから、不満の声がよく…

《No.47》共産主義の犠牲者たち;グラーグと労改(ラオガイ)

ホワイトハウスから北にまっすぐ伸びる16番街は、その都市計画の時代から、教会通りとも、大使館通りとも言われていたそうで、私も運転するのが大好きな美しい通りです。古いれんが造りの教会や中層のアパートが、北上するにしたがって、一戸建ての広い住…

《No. 46》最新ファッションに身を包んで30年

ワシントンの大使公邸で、この夏に発表された外務大臣表彰が、オハイオ州シンシナティ在住のメアリー・バスケットさんに10月4日授与されました。この賞は、日本と諸外国との友好親善に貢献した個人・団体に対して授与されるものです。今年は58名の個人…

《No. 45》現代建築の現場を二つの新しい視点から

日本の建築が世界的に高い評価を得ているのは、今に始まったことではありません。今年のプリツカー賞を妹島・西沢コンビのSAANAが受賞したことは、アメリカでも大きく報道されました。しかもここワシントンは、人間が計画して作ったいわば観光都市だけ…

《No. 44》日本の地下鉄車両がワシントンを走る?

この夏、久しぶりに帰国して体験した113年ぶりという東京の暑さは、たいへんなものでした。しかし、ワシントンでの生活と打って変わって、自動車を使わず、大汗をかきながらも、地下鉄で移動する日々で感じたのは、東京の地下鉄の安心感でした。 運行時間…

《No. 43》 105年前、あるサマーハウスでの出来事

ニューヨーク郊外の全寮制高校にいる娘に会うために、ワシントンから片道255マイル(約410キロ)の行程を、車を飛ばして年に4,5回通っています。今回卒業式を迎え、この長旅も最後の機会なるということで、アウトドア派の友人が「せっかく自分で車を運転…

《No.42》 サムライ・ウィーク in DC!

今からちょうど150年前、日本からの初めての外交団・万延元年遣米使節団がワシントンにやって来ました。ペリー提督率いる黒船が、下田に入港し日本に開国をせまった1854年から6年後のことです。 初代駐日アメリカ総領事タウンゼント・ハリスとの間で結ばれた…

《No.41》高峰譲吉博士と桜、松、楓、そして菊

人類にとって福音となった新薬の開発――しかも今から100年前に作られた薬で、現在でも世界中で使われているものは、3種類しかないそうです。アスピリン、アドレナリン(止血剤)、そしてタカジアスターゼ(消化剤)がその三つですが、そのうちの二つまで…

《No.40》桜――春の訪れと「日本文化」のリンケージ

丸2週間、3週末にまたがって開催されたワシントンの風物詩National Cherry Blossom Festival(全米桜祭り)が、今年も大盛況のうちに閉幕しました。 この時期、学校の春休みやイースターと重なって、この16日間、DCを訪れる観光客150万人が、この全…

《No.39》 ハイチの人々のために「ミラクルバナナ」!

ハイチでの震度7の震災から、早くも2カ月経ちました。新婚旅行で訪れたのが、まだ豊かだったハイチだったというビル・クリントン元大統領が、被災直後の現地に入り、精力的な活動を展開した様子や、その疲れがたたったのたのか、心筋梗塞で緊急手術を受け…

《No.38》 初めてづくしの2010年

111年前の大雪の記録を破り、“ハルマゲドン”ならぬ“スノーマゲドン”と呼ばれたワシントンDCでの降雪ぶりは、日本でも報道されたと東京の家族から聞きました。2月5日(金)は当地の世銀やIMFなどの国際機関が早々と休業宣言をだし、その日、午後か…

《No.37》 ある日系アメリカ人二人の死から

大使公邸で毎年開催される在留邦人と日系アメリカ人をご招待しての新年会の前日、一通の電子メールが届きました。週に2回という驚くべきペースで、次々にニュースレターを発行している、90歳を超えるグラント・イチカワさんからのメールです。グラントさ…

《No.36》 世界一多く映画祭を開催している街で

ワシントンDC市内の人口、約60万人弱――大国の首都ながら、とても小さな街です。ただ、ポトマック川をはさんだバージニア州北部、またDCとは陸続きでボルティモア近郊まで延びる通勤圏を含む、いわゆるワシントン・メトロポリタン圏とすると、人口も8…

《No.35》 小さな未来のお客さまたち

大使館の広報文化センター(JICC)では、スクールプログラムを展開しています。地元のワシントンDCと近隣の2州(メリーランド州、バージニア州)にある小中高の学校から、年間約100件、合計4,500名の子どもたちが、黄色のスクールバスに乗ってやっ…

《No.34》日本のファッションが注目される理由

アメリカ広しと言えども、織物を専門とする美術館は、ここワシントンDCにあるテキスタイル美術館(The Textile Museum)だけということです。鎮痛剤の「バファリン」で、日本人にもなじみの深い医薬品会社ブリストル・マイヤーズ社創設者のひとり、ジョージ…

《No.33》私の夏休み課題図書

ワシントン・ポスト紙の外交担当編集委員のジム・ホグランド夫人、ジェーン・スタントン・ヒッチコックの小説Mortal Friends(「不倶戴天の友」とでも訳しましょうか)がこの初夏に出版されました。彼女はすでにNYを舞台とした小説を数冊発表しており、今回…

《No,32》 ナチス、ユダヤ人、そしてイルカ

待ち合わせの時間調整のため、たまたまクエンティン・タランティーノ監督の映画Inglourious Basterdsを観ました。「キル・ビル」では日本のやくざを描きましたが、今回は第2次世界大戦中のナチスと、アメリカ特殊部隊との戦いです。 http://inglouriousbast…

《No.31》 ポニョとの約束

さて、「ポニョ」です。ご存知、宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」がここアメリカでも劇場公開が始まりました。全米で927館での公開、この週末の劇場窓口のチケットセールスは、9位ということでした。上映5週目に入る「ハリー・ポッター」が、「ポニョ」…

《No.30》ベッドフォード・スプリング今昔物語

広報文化センターの仕事をしていると、さまざまな方から情報提供のお電話をいただきます。たいていは、シニアの方で日本に親しい気持ちを抱いてくださっているアメリカ人たちです。日系人で元大学教授のトミヨさんも、そんなご婦人のひとり。ワシントンDC…